柿酢を作るのは、簡単ですよ。
東京から田舎に移住してから、柿酢を10回以上仕込んできました。
最初のうちは何回か失敗したのですが、今ではほとんど失敗することなく柿酢を作ることができるようになりました。
それでは、柿酢の作り方をご紹介しましょう。
酢ができるしくみ
酢で思い浮かぶのは、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなどがありますね。
実は、糖分を含んだ液体なら何でも酢になるのです。
酢ができる工程
- アルコール発酵
果汁など糖分を含んだ液体に食品や空気中の酵母が入り込み、液体に含まれる糖をアルコールに変える - 酢酸発酵
アルコールに変わった液体に空気中の酢酸菌が入り込み、アルコールを酸に変える
つまり、糖分がアルコールに変化し、アルコールが酢に変化します。
酢は、お酒が変化したものなんです。
柿酢の作り方(簡単な説明)
まずは、ざっと簡単に柿酢作りの説明をします。
材料と道具
- 柿
- 柿酢を作る容器
- 空気を通す布と布を止めるゴムまたはヒモ
作り方
- 熟した柿を容器に入れてつぶします
- 空気を通す布などでふたをします
- 2,3日おきにかき混ぜます
- 酢の匂いがしてきたら、かき混ぜないで1ヶ月位静かに置いておきます
- 容器の中のものをコシてできあがり
使用する柿は、なるべく無農薬のものがいいですね。
農薬の心配がある場合は、水でよく洗ってからペーパータオルなどで水分を拭き取りましょう。
甘柿でも渋柿でも、どちらでも良いです。
でも、渋柿のほうが糖度が高いので、おいしい柿酢ができるような気がします。
ボクは毎年、友達や知り合いから柿を分けてもらっています。
直売所で買った柿で仕込んだこともあります。
このときもちゃんと柿酢はできました。
山柿で仕込んだこともあります。
そのときは、タマゴくらいの大きさの小さい山柿をたくさん収穫して、漬物樽に大量に仕込みました。
柿酢の作り方(詳細説明)
柿酢の作り方を、順を追って詳しく説明します。
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1柿は洗わないで布で汚れを落とします
柿の皮に付いている酵母菌でアルコール発酵していきますので、柿は水洗いしないで、汚れている部分は布などできれいにします。
柿の皮に酵母が付いていると、すぐに酵母が糖分をアルコールに変えるためにはたらきはじめるからです。
農薬を心配して柿を水洗いして、柿に付いている酵母が少なくなっても大丈夫。
空気中の酵母が容器の中に入り込んできます。
まだ熟していない柿は、熟すまでカゴに置いておきます。
柿が熟してきたら、順次容器に入れます。
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2柿のヘタを取り除いて容器に入れます
手でつかんで柔らかい熟した柿を、保存容器に入れていきます。
容器に入れるときは、ヘタの部分に汚れや虫がいる場合があるので、ヘタを包丁で取り除きます。
皮にはアルコール発酵に必要な酵母菌が付いていますので、皮はむかないでください。
熟した柿を容器に入れたら、木べらなどで潰してあげます。
カゴに残してあるまだ硬い柿も熟してきたら、順次ヘタを取って容器に入れていきます。
step
3空気が通る布などでフタをします
容器の中に虫が入らないように、空気が通れるようなものでふたをします。
アルコールから酢に変化する酢酸発酵では酸素が必要なので、空気を通すものでふたをしてください。
保存容器は、陽の当たるようなあたたかいところに置いてください。
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42,3日おきにかき混ぜます
表面がカビないように2,3日おきにかき混ぜます。
その際に、容器のなかにショウジョウバエなどの虫が入らないように注意してください。
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5アルコール発酵がおきてきます
4,5日すると、ぷくぷくとアルコール発酵が始まります。
匂いを嗅いでみると、アルコールの匂いがしてきます。
アルコール発酵がなかなか起きないときは、イースト菌を小さじ1杯程度足してあげてもいいでしょう。
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6次に酢酸発酵がおきて、表面に白い膜ができてきます
アルコール発酵が終わると、つぎに酢酸発酵がはじまります。
匂いを嗅いでみると、酢の匂いがしてきます。
酢の匂いがしてきたら、もうかき混ぜないようにします。
さらに表面に白い膜ができてきますが、これは産膜酵母というものです。
これは失敗ではなく、柿酢作りが問題なく順調にすすんでいる証拠です。
そして、柿酢を仕込んで20日間くらい経過すると、柿酢の表面にぶよぶよしたゼリー状のものができてきます。
この白い膜は、コンニャクと呼ばれている菌の集合体です。
本によっては、雑菌が入ったとか、あるいは順調に進んでいるとか、いろいろ書いてあります。
でも、このコンニャク状のものができても、柿酢はちゃんと作れるので心配ありません。
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7次に柿酢を濾します
酢の匂いがしてきてから半月くらい経過すれば、もう柿酢を絞ることができます。
ボクはさらに半年ほどしてから絞ること多いです。
そのときは、フタに被せた布を取り除いて、ビンを密封して水分の蒸発を防ぎます。
ビンを密封しないと、水分が蒸発して柿酢が絞れなくなります。
確かな理由では無いのですが、長く熟成したほうがおいしい柿酢ができるような気がしているからです。
柿酢の濾し方は、ビンなどの保存容器の口にじょうごを置き、こし布を掛けます。
うちでは、はちみつをろ過するときに使用しているオーガンジー(ナイロン製の網目が細かい布)を使っています。
ドロドロになっているペースト状の柿を、しゃもじやおたまなどで圧を掛けて濾します。
最後は、手で巾着状にして絞りきります。
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8出来上がり
4リットルのガラス瓶で仕込んで、出来上がりは800ccほどでした。
柿酢の保存方法
柿酢を入れたビンは、冷暗所で常温にて保存します。
澱(おり)がビンの下に沈んでくるので、澱引きしたほうが良いかもしれません。
ボクは気にしないで、そのまま使っています。
これは、たしか7,8年前に仕込んだ柿酢。
とてもまろやかな味になっています。
年数が経つほどに熟成していくようです。
柿酢作りで失敗した原因
いままでに柿酢作りを10数回やってきたのですが、2回失敗したことがあります。
その失敗とは、以下の2つです。
失敗原因
- ショウジョウバエが入り込んで産卵された
- 直射日光が当たるところに置いて、液体が蒸発
ショウジョウバエに産卵される
柿酢を仕込んでいるときに、仕込みビンのなかにショウジョウバエが入って産卵されました。
その後、ビンの中にウジ虫が大量発生。
発酵臭によってショウジョウバエが寄ってきますので、仕込みビンの中にショウジョウバエが入らないように注意しましょう。
液体が蒸発
仕込みビンを屋外の直射日光の当たるところに置いていたら、仕込んでいる液体が蒸発してしまいました。
温度が高くなりすぎると、柿酢が蒸発するので注意しましょう。
柿酢の作り方のまとめ
柿酢を作るのは意外と簡単です。
柿がたくさん手に入って、食べきれないときは柿酢を作ってみてはいかがでしょうか。
柿酢は、買うと結構高いんですね。
▼小さい子向けの絵本ですが、柿酢作りにとても参考になります
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